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【第54回】 アルフレッド・R・ウォーレス著「心霊と進化と」から学ぶ

スピリチュアリズムが勃興しはじめた当時、先駆者達は、「霊魂の存在」というたった一つの事実証明のために、心霊実験会(交霊会)を何百回と繰り返し行うなど大変な苦労をしたようですが、アルフレッド・R・ウォーレス著の「心霊と進化と」(潮文社出版)にも、その模様が詳しく書かれています。

霊魂実在を証明しようとする肯定論者、それをつぶそうとする否定論者…
肯定論者のウォーレスでさえも、ときには懐疑的な思いに苛まれたとあり、目に見えないものを証明し、信じることは肉体に閉じ込められている私達地上人には、本当に大変なことだと思いました。

その一方でウォーレスは、次のような死後存続への期待を語っており、当時の人々が、どんなにか「死後の世界の確証を得たい」と思っていたかが窺え、胸が熱くなりました。
私や同志たちの心の底には、現在こうして生きているわれわれが、他界した過去の人物と交信するということが、もしも本当だとすれば、これはなんと素晴らしいことではないか、というワクワクするほどの想いが渦巻いていた。
(188ページ)
さらに、窺えるのは、心霊実験会には霊界からの多大な支援と協力があったことです。それは、ウォーレスが疑問に思うことに対し、霊界がたちどころに、疑問を解明する現象を次の心霊実験会で起こし、疑問を解いてくれたとあるからです。
こうした心霊実験によって霊魂の存在を確信するに至ったウォーレスは、スピリチュアリズムの未来について、次のように語っています。
筆者(ウォーレス)にいわせれば、もはやこれ以上心霊現象を追試する必要はない。
(中略)
霊魂の実在を証明する段階は過ぎ去って、これからはその画期的な事実をもとにして、人間とは何か、霊界とはいかなる世界か、道徳観は在来のままでいいのかといった哲学的および宗教的な面まで発展させていくべきだ、というのが私の考えなのである。
(226ページ)
なんと示唆に富んだ見解でしょう。また、今後の“霊的真理の広がり”についても、示唆に富んだ見解をしています。
それ(霊的真理)自らがもつ真理の勢いに乗って広がりつつあり、社会の全ての階層に行きわたりつつある。非難、排斥、ちょう笑、否定説を次々と浴びながらも着実に発展し続け、これ以降は著名人の名前の力を借りずとも発展していくことであろう。
(199ページ)
ウォーレスの見解通り、スピリチュアリズムは進展し続け、いまや地上人は、“霊的真理に基づく霊的な歩み”をしていく時期に来ています。
そのためには、真理を普及する人が絶対に必要であり、こうした霊的夜明けとも言うべき重大な時期に、「真理普及」という価値ある仕事に従事できる私達スピリチュアリストは、何と幸せなのでしょう。
霊界のシルバーバーチ、ウォーレスをはじめとする地上の先駆者達の大変な苦労を思うと、“本気になって真理を普及していかねばならない”、“何としても地上に霊的真理を根付かせねばならない”、“その一助になりたい”という強い思いが湧いてきます。最後に、シルバーバーチの言葉をご紹介します。
霊的実在を物的手段で証明してみせなければならない時代には、物理的心霊現象が必要でした。当時の科学者は物的ものさしで計れないものを受け入れる用意ができていなかったのです。
(中略)
今や科学者も物質は個体ではなく、実際は見えざる世界にあることを認めています。
(シルバーバーチの霊訓11/57ページ)
2007年08月15日