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【第13回】 「ホリスティック健康学・栄養学」から学んだこと

栄養学研究所から昨年「ホリスティック健康学・ホリスティック栄養学入門」が出版されました。この本からホリスティック医学とホリスティック栄養学のかなり専門的な知識を得る事ができました。今回はその事について述べます。

体の状態は、心を左右する大きな要因になりますから、体調を整える努力をする事は、霊的成長をしていく上に欠かせない事の一つです。それには体の仕組みを知り、自然の摂理に適った生活をしていかなくてはなりません。

健康状態を左右する要因としては、適度な運動・適切な休養・健全な食生活・衛生的な生活環境が挙げられますが、この中で今一番問題なのは食生活です。不健全な食生活が私達の健康を害し病人を増やしている大きな原因になっている事をしっかりと認識し、食べたい物や好きな物中心の食事から、体に必要な物を摂取する食事に改善していく事が健康になる必須の条件であると思います。

人体は霊の宮としての大切な役割があります。スピリチュアリストであれば尚の事、人体の摂理を正しく知った上で正しく管理して地上人生を霊的成長のかけがえのない時と場にしていかなくてはなりません。

私は職業柄、食事の大切さを実感しているので、治療には必ず栄養療法を採り入れてきましたが、栄養療法にも様々な見解があり戸惑う事が多々ありました。また巷の健康情報に至っては、テレビや雑誌などマス・メディアがこぞって種々雑多な情報を流し玉石混合の感があります。このように様々な療法や情報はあるにはあるのですが、しかしトータル的な健康観、つまり心身一如の観点に立った論調は今まで皆無であったように思います。

そこに登場したのが「ホリスティック健康学・ホリスティック栄養学入門」とそれを実践する為のレシピ集「ヘルシークッキング」です。

ホリスティック健康学とは「人間の健康」を唯物的観点から見るのではなく、肉体的・精神的・霊的・社会的な観点からトータル的に考える健康学です。そしてその中の一分野がホリスティック栄養学です。そのホリスティック栄養学を一言で言うならば、かつての健全な伝統食に最新の栄養学によって明らかになった栄養学的条件を摂りいれて食事全体をグレードアップしたものという事になります。つまり昔の伝統食に足りなかった栄養素を補った理想的な食事という事です。

その食事を始めて半年程経った頃から、私の体調に明らかな変化が現れました。それは私ばかりではありません。同じように始めた方々全てに言えます。「体調が良くなったのがはっきり分かる」という嬉しい報告を頂いています。それは健康レベルが上がった事を意味します。

健康レベルが上がると体がとても軽く感じられるようになりますが、それは健全な食事によって一つ一つの細胞の健康レベルが上がり体全体の生命活動が活発になるからです。細胞がまともになればその集合体である器官や組織もまともになりその結果、体全体の健康レベルが上がります。
自然界と調和した健康体は霊にとって心地良いものですが、それは手入れの行き届いた家が心地良いのと同じです。

食事改善をして体調がひとたび良くなってみると、健康レベルを上げるのはこんなに簡単な事だったのかと半ば驚き半ば呆気にとられています。
しかし、それはホリスティック的観点に立った納得のいく栄養理論と、丁寧なレシピ集が出版されたからです。その気になれば、誰でも実践できるように書かれた二冊の本は必読書です。また調理法に至っては、易しい上に手間がかかりません。

体調は良くなるし、調理は簡単だし良い事ずくめのヘルシークッキングですが、ここに一つ大きな問題があります。その問題とはヘルシークッキングを継続していくだけの意志が確立されているかどうかです。知識を得る事とそれを実践していく事は全くの別問題だからです。

今風の食事をしている人にとって、ヘルシークッキングによる実践は、かなり難しいのではないかと思います。その理由として、肉・牛乳・卵の問題があります。ホリスティック栄養学では、この三点を好ましくない食材の筆頭として挙げています。

これらは、今の日本の食卓に欠かせない食材になっていますから、メニューからはずすのは大変な事だと思いますが、しかし正しい食のあり方が分かった以上実践しなくては学んだ意味がありません。スピリチュアリストであれば尚の事です。

摂理違反の肉食は、今すぐにでも止めて摂理に適う食材での食事に改善していく事だと思います。肉食を止めるのは健康上の理由だけではなく、真理を知った者として許されない行為です。

知識は得ただけでは価値がありません。しかし実践すればその価値は何倍にも何十倍にもなり大きな実りをもたらします。とにかく実践することだと思います。

最近の医療では、検査方法の進歩によって体の僅かな変化も早期に分かるようになりました。
多くの人々が定期的に健診を受けています。それは自分の健康に大きな関心を持っている証拠です。食品やグッズ、情報など健康に関するものも花盛りで、人々の健康への関心の高さが分かります。人々のこうした健康志向は、今に始まった事ではなく、霊訓が下ろされた当時も人々の関心事でもありました。シルバーバーチはそうした地上人に「肉体はかまい過ぎる程かまっている」と言っています。
さらに「肉体に持つ関心の幾らかでも霊的な事に関心を向けてほしい」と言っています。

シルバーバーチに言われるまでもなく、地上人の多くは肉体の事ばかりにかまけています。
地上人生には肉体が不可欠ですから、体を大切にする事に異論はありませんが、大事にする割には病人は一向に減りません。これは大問題です。病いはカルマが関係している事もあり一概には言えませんが、しかし今のやり方では健康になれない事は明らかです。

病人を減らし一人一人の健康レベルを高めるには、人間を三位一体としてみるホリスティックな健康観に立つ以外に方法はありません。霊・精神(心)・肉体は互いに影響しあっています。何の為に肉体を持って生まれてきたのか、自分とは何者なのか、さらに人生の目的とは何かを明確に理解する事は、一生を健康で有意義に送る上に大きく関係してきます。

こうした事から見ていくと、食事改善の成功には自らを霊主肉従の状態に置き、欲望を完璧にコントロールする事が必須である事が分かります。
肉主霊従の状態では、欲望に勝てず、いずれは挫折してしまう事になるからです。

「人間は霊的存在であり霊が主人で肉体は僕である」というシルバーバーチの訓えはシンプルですが、非常に深い意味があると改めて思います。霊の宮である肉体をしっかり管理しようと奮起する力は、霊的な心の意識だからです。肉体を霊の支配下に置く事によってのみ真の健康が得られるのだと思います。
霊的意識をもっともっと高めて、高いレベルでの霊主肉従を目指していきたいと思います。

先ごろNHKより「食べて治す・患者を支える栄養サポートチーム」という番組が放映されました。入院患者の栄養補給を、点滴から経口にする事で入院期間が短縮されるといった内容で、その為の様々な取り組みを紹介していました。

期待していた内容とは違いましたが、番組の最後に「これからは、栄養管理なくして良い医療はできない」と言った医師の言葉は、栄養療法の重要性が医療の現場で分かり始めた事の証です。ホリスティック栄養学が医学に大きな役割を果たすようになるのも、そう遠い事ではないと思い嬉しく感じました。
ホリスティックな健康観に立った高い健康レベルで、清々しく爽やかに真理の普及をしていきたいと思います。

2005年02月03日